2025/01/31 ブログ
【メンタルカウンセリングシリーズ】今日から眠れる弁護士カウンセリング「離婚を切り出したあなたへ⑧」
今日から眠れる 弁護士カウンセリング ~トラブルで心が折れそうなあなたへ~
第1章 離婚
(前回の記事はこちら→【メンタルカウンセリングシリーズ】今日から眠れる弁護士カウンセリング「離婚を切り出したあなたへ⑦」)
15 離婚を切り出したあなたへ⑧ ~慰謝料編~
弁護士の今田健太郎です。
近似、離婚の相談は多いのですが、その際10人中8人くらいの割合で、「相手から慰謝料はどの程度とれるのでしょうか。」と聞かれます。テレビ番組の影響が大きいのでしょうか。
しかし、
①まず慰謝料が発生するケースなのかどうか
②その事実を証明できるのか
③裁判まで提起したとしても相手方に支払う能力があるのか
という点を検討しなければなりません。
第1に、慰謝料というのは、相手方に不法行為(民事上の違法な行為)があることが前提ですから、単に性格や金銭感覚が合わない、育児や家事を手伝わない、仕事に理解がない、しょっちゅう喧嘩している、といったことでは、原則として認められません。
認められるケースの代表例は、不貞行為や暴力行為ですが、第2にこれらの事実を証明できるかどうかが問題です。不貞行為については別の章で述べますが、暴力行為についても、その都度写真をとり、日記に記載し、病院で診断書をとったり、警察や地元の行政などに相談をしたりといった痕跡を残しておかないと、相手方が認めなかった場合には難しい場合もあります。
また、継続的な暴力行為や、不貞行為があったことが証明できた場合には、その金額の算定が問題となりますが、その悪質性の程度や頻度等の要素によって、概ね50~300万円程度の範囲になることが多いものと考えられます。
第3に、夫や妻に、離婚の際に慰謝料を請求するといっても、相手方にお金がなければ、判決などをとっても紙切れになってしまいます。辞めることはないであろう勤務先などがある場合には、給与の差し押さえなども可能ですが、良心的な弁護士であれば、回収可能性が極めて困難であろうと思われる場合には、弁護士費用が持ち出しになるようなケースまで、受任することは少なくのではないかと思います。
このように、そもそも慰謝料が発生するのか、相手方が否認した際に立証できるか、裁判で勝訴した場合に、支払う能力があるかどうか、といったことについては、まさに弁護士の専門領域とするところであって、慰謝料を期待していいものかどうか、心構えを持つためにも個別の法律相談をお薦めします。